時々車で走っていて気にかかる物があった。県道わき数十メートル向こうに見える小さな祠である。1メートルくらいの高さの石が立っていて、石なのに丁寧に小さな屋根がかけてある。何やら昔から大事にされてきたものだろうと惹かれるものがあった。
先日、その方面(大森町)に用事が出来たので、帰りに撮影することにした。車を県道の脇道に停めて近づくと、今まで道路の方から見ていたのは裏側であることに気づいた。正面に回って念願の写真を撮ったのが次である。用水路のそばにぽつんと立っているのは「田神」であった。あたりは一面に広がる田んぼ……昔から農民たちが田んぼの神様として素朴に敬いながら大切にしてきた様子が想像され、なんだかこの発見は、私にとって近年しばらくなかった喜びとなった。