北国の冬もようやく終わり,春を迎えた。田んぼに残っていた雪を眺めていたら,遠い昔,橇で肥引きをした頃のことを思い出した。丈夫な橇で、竹で編んだ大きなザルみたいなもの(名前は忘れた)を敷いて、その上に堆肥をたっぷりと乗せ、堅雪の上を田んぼまで運ぶのだ。登りもつらいが,下りは橇が滑りすぎて危ない。そのため子どもの作業は特に二人がかりで行なっていた。いつであったか,弟と二人で運んでいたら,近所では見かけない大人に写真を撮られたことがあった。そんなことを思い出して作ったのが次の俳句である。

  <入選> 肥引きの 帰りは弟 橇の上

軽くなった橇にはちゃっかりと弟が乗り,仕方なく私が引いて帰るのである。よくあった昔の農村風景である。自分としては,一緒に送った次の句が気に入っていたのだが,本当にたまにしか投稿しないので新聞に掲載されただけでも満足である。 

       おでん鍋 育てし大根 牢名主

冬の間、自分で育てた大根をよく食べた。100本ほど収穫して,人にやった残りを保存していたものだ。蕎麦を食べるときには必ず大根おろしにし,おでんの時は必ず鍋に入れる。ある時,気が付いた。おでんには定番のはんぺんや昆布,さつま揚げ,ちくわ,玉子,などなどいろいろなものが入っているが,鍋から取る時に一番下でどっしりと構えているのが大根である。なんだかそれが、時代劇で見る牢名主のようだったのだ。妄想のようなたわいのない句である。やはり、「肥引き」の句の方がよかったか・・・。 

    雪割草(ミスミソウ)我が家で春一番に咲く。

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