<4月21日> 里の雪は少なかった年で、山も同じかと思いきや、こちらは多かったようである。一人で出羽丘陵へ様子を見に出かけたら、谷間には雪が残り、カタクリとキクザキイチゲが咲いて森の中ははっとする美しさであった。ウグイスも歓迎の鳴き声を聞かせてくれた。最も早いコゴミはどうかと毎年訪れる斜面へ向かった。エンレイソウが誰も見る人もいないのに、けなげに咲いていた。あった。雪が残る斜面の上の方に、十数本が固まって芽を出している。根元がまだ茶色の衣に包まれて十センチほどに伸びた株が、いくつか見られた。目を地面から上の方に転ずると、タラノ木がたくさんある。ただし、芽はかたいままで収穫には早すぎる。コシアブラも然り…。その日の夜、コゴミの初物をいただいて、何やら元気が出てきた。胸の内には、このあと盛期になる山菜の姿が浮かんでくる。(山菜採りなので、基本的にカメラは持たないため、今日の写真はなく、以前のものである。山菜採りと写真の両方というのができないタチなのだ。どちらかに集中しないとできない不器用さに、情けなくなる。しかしながら、このブログのためには、次回からはカメラを持参しよう、と思っている。)
<4月25日> 久々に妻にも声をかけて、コゴミの採集に出かけた。我が家では、冬でもパスタなどにコゴミを利用するため、多めに採って冷凍しておく。前回から4日目なので、若くておいしそうなものを腰籠に二つ採ってきた。タラの芽も第一陣ということで程よいものだけ収穫した。コシアブラはまだ早い。ゼンマイの気の早い奴が数本出ていた。(長年の習慣で、今日もカメラを忘れてしまった。)
<4月29日> 保呂羽山の麓へ、ホンナを求めて単独行した。ここも山道はまだ雪が残り、コゴミが出始めたばかりで目指すホンナは帰りの道端に2本だけあった。きょうはカメラを持参したので、2枚だけ紹介しよう。あと一週間もすれば山もだいぶ活気づいてくることだろう。楽しみである。
<5月1日> 5月になると地域行事が始まる。3日、用水路の泥上げ作業、に始まり、クリーンアップ、草刈りなどである。草刈りは時期的に6月になるが、田舎らしく、朝の5時開始である。山菜採りも本当は朝の4時ころに自宅を出て、明るくなる5時前には行動開始なのだが、行事の日だけは我慢しなければならない。それに、ゼンマイの場合は、綿を取り、茹でて干さなければならないため、天気の悪い日は採りに行けない。きちんと乾燥させないとカビが生えてしまう恐れがあるのだ。因みにただ干せばよいというのではなく、柔らかくするために繊維を何回も揉みほぐさなくてはならない。たいへんに手間のかかるのがゼンマイだ。そういうわけで、いろいろと制約がある中で山菜採りは行われる。自然相手の気を揉みながらの楽しい時期なのだ。昨年のようにやたらと熊が出て家族に止められることがないよう祈るばかりである。
<熊のこと> 私の場合は山内(横手市東部)のある場所では毎年のように熊の呻き声を聞いている。何年も一人で行っていた昔、初めて聞いた時は、トラクターのような重低音がして、麓の田んぼから聞こえてきたのかと思った。しかし、どう考えても何キロも離れた山の中に、しかも、農作業をするには早すぎる早朝のことで、獣の声しか考えられないと気付いた。また、山の専門家と鳥海山麓にナメコを採りに行った時は、同じ重低音の呻き声がして、風向きの具合で獣特有の油っこい匂いがしたものだ。彼の意見もあり、あの呻き声と匂いは熊であると確信するに至った。以来、聞いたら笛を吹いたり大声を出したりして、こちらの存在を知らせて難を逃れてきた。また、熊の運動能力はすばらしく、ブナの立ち木にずんずん登った跡がみられる。爪痕である。それも太い幹ばかりでなく、サルナシの細くて高い木に登って実を食べた跡を見たことがある。渓流釣りに行った時のことで、川の岸辺に実をいっぱい落としていたので木を注意深く見上げたら、太くもない木のずっと上の方に登った跡があったのである。やはり、山では山のオヤジの存在が一番で、こちらはお邪魔をしているののだから、引き下がるしかない。時によっては、いくら笛を吹いても自分の方に向かってくることがある。そうした場合は、向こうもこちらに存在を知らせてくれているのであるから、すぐさま山菜採りを止めて、場所を譲るしかない。一昨年、羽後町へゼンマイを採りに行った時、山の専門家は、沢目の崖を見上げて、「熊は小石をわざと落としてくることがある。」と話していた。さも、ありなん。
<5月5日> 大森保呂羽:タラの芽とコシアブラ(腰籠1つ)、ゼンマイ(1畳)
<5月11日> 大森保呂羽:ホンナ(腰籠1つ)
<5月12日> 山内平野沢・虫内沢:ゼンマイ(3畳)・ウド・コシアブラ・タラノメ
<5月16日> 大森:ワラビ・ウド・ホンナ・ゼンマイ(1畳)
<5月18日> 山内・外山:雪消え後で時期尚早(コゴミ・ゼンマイ・ウド・ホンナ・タラノメ・コシアブラ・ワラビ)
<5月21日> 大森保呂羽:ワラビ・タラノメ・ヒデコ
<5月24日> 大森保呂羽:ワラビ・ミズ・ホンナ
<5月26日> 山内上黒沢:ゼンマイ(1畳)・ワラビ・タラノメ・ホンナ
山菜で、一杯やってますか?
4月28日、札幌にも桜の開花宣言が出た。平年より5日早くて、昨年より3日遅いとのこと。このところ外に出る気も起きないような寒さで、開花と言われてもピンとこない。それでも、例年より早いっていうのは、どうも納得できないなあ。トシのせいで、感覚もボケてきたか? もう少し、暖かくなってきたら、私も近所の山にでも行ってみよう。カメラを忘れずにね。