昨年秋から、今春の営巣をねらって巣箱を作っておいた。屋根を杉の皮で葺いて、自然に近い雰囲気でシジュウカラの入居を待つ算段である。

長い冬も終わって4月になり、最初に訪問したのはスズメであった。その後、念願のシジュウカラがやってきた。しかし、入り口の穴が狭かったのだろうか、中には入らない。急いでやすりなどの工具を持っていき、穴を少しだけ(数ミリ)広げることにした。径が28mmあたりがスズメが入れずにシジュウカラが入るぎりぎりの線であった。これはここ数年の経験から分かっていた。少しでも(30mm)大きくしてしまうと、スズメに占拠されてしまうのだ。そのために27mmくらいで作っておいたのだ。

シジュウカラは毎日のようにやってきては巣箱に入ろうとする。しかし、あきらめてしまったようだ。そのうち巣箱と同じ木(モミジ)の下のほうに、洞(うろ)があるのを見つけたようだ。盛んに下見をしながら中をうかがっている。まさか、こんな穴に営巣しないだろうと思っていたが、彼らは巣箱よりもこの洞を選んだのだった。地上わずか65cmの新居である。その後、順調に繁殖行動が進み、最近はしきりに青虫などの餌を運ぶのに忙しい。オス・メス交代で採餌に行ったり、時には一緒に巣の中に入っていく。毎日、飽きもせずに眺めては、子育ての時代を思い出している。

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