「桃・栗三年、柿八年」とはよく言われる言葉である。植えてからこれくらいの年数が経たないと実がならないということのようだ。かなり前に「富有柿」というのをいただいた。雪が降らない南の地方で採れたものだそうで、実が大きくてたいへんにおいしかった。感激して、種を取っておいた。こんな柿が実ったら、さぞやうれしいことだろうと期待してのことである。何年か挑戦しているうちに、ついに芽が出た。うれしくなって、早速鉢植えにして育てていた。寒い秋田では育たないのではないかと危惧しながら数年が経った。家を新築することになり、よい機会だからと地植えにしてみた。冬場の雪にやられないように注意深く囲いをして…。6年が経ち、7年目の今年、幹の丈は2mをはるかに超えた。そして、ついに花が咲いたのである。この後どうなるか、どんな実がつくか、期待は大きく膨らむ。また、楽しみが一つ増えたことに感謝している毎日だ。
誰の作かは忘れたが、こんな句が思い浮かんだ。 柿若葉重なりもして透くみどり 私の胸に幼子でも誕生したかのような「めんこい、めんこい」花が咲いた。