猛暑に一区切りついたかと思わせる8月19日、涼しい夜がやってきた。ようやくエアコンなしで気持ちよく寝られると、心うきうきとした夜だった。秋の夜長を思わせるすばらしい月夜である。何の気なしに、北側にあるギターの部屋の窓辺へ行って、驚いた。二軒隣にある空き家の二階に、電灯が煌々と灯っていたのだ。ここは一人暮らしであった同級生の家である。彼は数年前に他界し、その家は今は無人である。南側に窓が2か所あり、一番東側にある窓だけが明るいのであった。なんという不思議なことだろうと、慌てて写真を撮った。夜間の撮影なので、ISO感度を限度の3200まで上げて、なんとか撮り終えた。とは言え、不思議なことに変わりはない。
深夜だったが、外に出て空き家の近くまで行ってみることにした。すると、件(くだん)の窓は、真っ暗であった。当たり前である。誰も住んでいないのだから…。考えられることは一つしかない、と思い至った。月光の反射である。大変明るい月の光が窓にあたった。その反射光がギターの部屋にいた自分の目にちょうど届いた。角度が変わっていれば見えない光である。こうした偶然の出来事が、この謎の顛末であった。そんなに難しいことではなかったのだが、あの窓の光は電灯の光と見分けがつかないほど、明るかったのだ。写真をご覧になっていただこう。夏の夜のスリルを味わうには、十分なはずである。