画像にあるサワギキョウやホトトギスの花が美しく咲く季節になった今日10月1日。なんと8月1日に投句したものが,またまた2か月ぶりに読売新聞地域版の文芸欄に掲載された。今回は秀逸というトップ当選ながら、選者の評と、こちらの実情に残念ながら乖離があったので,その点を紹介したい。なかなか他人では知りえない内容だと感じたので,そんな生意気をお許し願いたい。
収穫を 終へし手拭ひ トマトの香(か) 秀逸
<評> トマトは夏の季語。太陽の光を浴びて育ち,真っ赤な色になる。暑い最中での収穫はたいへんであろう。この「手拭ひ」は汗を拭うものではなく、収穫のトマトの表面を拭うものであろう。「トマトの香」は日の匂いである。
実は、「暑い最中」には収穫していない。大規模な栽培をしている専門の農家ならば,否応なしに暑い時間になるだろうが、家庭菜園みたいな野菜栽培初心者の私などは、早朝の仕事である。また、「手拭ひ」は近くの毎年味噌を作ってもらっている麹屋さんの手拭で、山へ行くときなどにたいへん重宝してしているものである。タオルではかさばっていけない、汗の吸収が良い、乾きも早い、そんな理由で愛用しているのだ。畑では正に「汗を拭う」ために使っている。我が家は無農薬栽培なので、「トマトの表面を拭う」必要がない。
では、どんな時の句かというと,そのままである。子規の唱えた写生俳句のつもりである。トマトは,脇芽を欠く必要がある。枝の剪定もしなくてはならない。実をもぎ取るだけでも指に独特の匂いと色が付く。つまり,少し触れるだけで匂いは付くのである。当然,汗を拭くときに指からトマトの「生きる力」「血液のようなもの」植物全体の匂いのエキスが付く。私はこれぞトマトの香りだと大好きである。しかし、家に帰ってから、石鹸で手洗いをして自分のタオルで拭くと、独特の黄色いような色が付く。よく洗わないからだと,妻には叱られっぱなしである。
やはり、選者のような高貴な方の感覚は、私などのはるか上にあるようだ。ともあれトマトは野菜の中でも香りがたいへんに強く,栽培は楽ではないが大好きな野菜である。秀逸に選んでもらった今(10/1)は,残念ながら8本植えたトマトも,残りが2本となっている。これからも実感を大事にして,のんびりとささやかな感動や発見を句にしていこうと考えている。