4月14日(金)、庭を歩いていて、梅の開花を発見した。まだ咲かないのかなあと上方の枝の先を眺めていた。日当たりのよいところから咲きだすのではないかという思い込みがあったのだ。「やはり、まだ早いや。」と仰いだ目を幹に戻したら、白い片のようなものが見えた。もしやと近づいてみると、初咲きの花だった。人の背丈ほどの高さの幹から、一つだけ顔を出した、ごく短い枝の先であった。昨日は風が強くて、とても寒かった。今日は一輪ほどの暖かさである。(写真は昨年のもの)
桜の絢爛たる様子はもちろんいいが、私は楚々とした、やや控えめな感じがする梅の花が好きである。人ごみの中に現れた明るい笑顔の女性が桜だとすれば、梅は地方を旅していて偶然出会った美人である。それは、山の中であったり、海辺の民宿であったり、予期せぬ所で胸を切なくするのだ。写真で撮るとすれば、「暗い背景に、そこだけ日が差している一枝」といった姿が似合う。樹全体の優雅さでは桜にかなわない。ところが瞳を凝らして、無口に咲いているのだ。桜も梅も、花期が短いのが残念である。他の花もそうなのだが、年に数日間だけ咲くからこそ、いとおしいのかもしれない。