固定ページの「ようこそクラシックギターの世界へ」の中に、私の下手なギター演奏の録音コーナーがある。一人で盛り上がって、久々に20数曲を録音しようと考えて作ったコーナーである。ところが、最近、あるギタリストの存在を知り、その人のお陰で数年来探していた楽譜に巡り合うことがあった。その人とは青木一男というギタリストで、若いころにスペインに留学し、師のもとで修業したというプロのギタリストである。YouTubeで演奏動画を配信し、しかも、何曲かは自ら編曲した楽譜を無料で提供しているのだ。中にはタブ譜もあるが、私はタブ譜は使わない。編曲は概ね易しい運指のものが多く、中級者までを対象にしているようだ。彼の演奏は、何よりも音がきれいで、それだけで惹きこまれてしまう。テクニックその他では著名なギタリストは多いけれども、やたらに速かったり、潤いに欠け、要は叙情性を感じないことがある。しかし、彼は、素人の自分にはたいへん参考になる演奏である。音楽も料理も男女も(?)…何もかも、人それぞれの好みが大きく左右する。だから、世の中、うまくいっているのかもしれない。「いろいろな演奏家のCDを聞いて、気に入った曲を見つけ、楽譜を探す…。そして、自分のレパートリーにしていく。」そうしたこれまでのパターンを変えてくれたのが、青木氏である。

「鳥の歌」、「コンポステラの歌」などのスペイン・カタロニア民謡、そして、サビオ作曲「わが道」、数年来、曲名をメモしておいて楽譜を探していた「小さなロマンス」。実にいい曲に巡り合わせてもらった。今年に入ってこれらの中から3曲を上記「ようこそ……」の中に追加した。以前からのレパートリーで未録音のものも多いが興味関心がこれらに集中してしまったのだ。いずれも易しい曲なのだが、完璧に仕上げるのはかなり難しい。録音してみて初めて自分の欠点や癖に気づくのだ。私が意識しているのは次の3点である。

1 音楽なのだから音が美しくなくてはならない。

2 流れが自然で、抑揚に富んでいなくてはならない。

3 演奏者の熱意や思いが表現されなくてはならない。

どれ一つとして実現できないでいるが、こんなことを意識していくと、いくら易しい曲でも完成には程遠いものになってしまう。いやあ、この道も奥が深い。修行あるのみである。

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