ウグイス

今年はさまざまな自粛があったせいか、例年とは違った春を過ごし、初夏を迎えている。人ごみを避けるように言われ、人のいない山へと向かった。これは毎年のことでもある。タラノメ、コシアブラ、ホンナ、ヒデコ、ミズ、ゼンマイ、ワラビとまあまあの収穫であった。そうこうするうちに、我が家の庭にも花が咲き始め、今を盛りと可憐な、あるいは清楚な姿を見せている。人事とはいっさいかかわりなく、あくまでもマイペースである。花の命は短くて……なんだか愛おしく、今年も写真に収めたのであった。中には名前を知らない花もあって、教えていただければ幸いである。

例年と違ったことを思い出した。ウグイスである。これまでにも毎年のように近くへ来て、鳴くことがあり、山から里へとやって来たのかと、一人で感激していた。そして、一時鳴いたかと思うといなくなってしまうのであった。ところが、今年は4月が過ぎ、5月になっても居ついている。まもなく6月になろうとしている今日も、この原稿を打っている今も、鳴いているのである。これは実に不思議な出来事だ。私は何度も望遠レンズを持ち出して撮影に挑戦した。しかし、やはり姿は見せてくれない。十年以上も前に、一人で出かけた山中で撮影に成功したことが一度だけある。あの感動をもう一度と願っているのだが、すぐ近くにいるのに……きわめて警戒心が強い鳥なのだ。「声はすれども姿は見えず、ほんにおまえは〇のようだ」という落語の口上を思い出しては諦めている状態だ。

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