まずは次の画像を見ていただきたい。
平成25年3月、50有余年の月日を経て閉校したわが母校……田舎の地で子どもたちの成長を見守り、少子化の影響を受けて近隣の2校と統合して歴史に幕を閉じた。卒業生総数はおもしろいことに3152(最後に)人であった。先人が心を砕いて作り上げた庭には、ハナミズキや数々の樹木、そして希少な二色のフジが植えられていた。当然のことながら、冬はていねいに雪囲いをして守られ育てられてきたのだろう。初夏になると毎年、美しい心惹かれる花を咲かせていた。
自分も退職してここを離れることになっていた秋、フジの種を拾っておいた。鉢に植えて発芽を待ち、芽を出した時は一人で小躍りして喜んでいた。数年たち、一本をぶどう棚の端に地植えした。2年前である。生命力旺盛なフジは、盛んに枝を伸ばし、一時ぼうぼうの伸び放題になってしまった。そこでこの春、自己流ではあるが剪定をして姿かたちを整えていた。林業関係者には嫌われ者だというが、何やら分かる気がするなどとのんきに構えていた先日、新芽が出てきたなと眺めていたら、なんと花芽を発見したのである。カメラに収めて拡大してみると、どうやら白花のようで開花を心待ちにしている。
5月14日、上の段を書いたのは5月10日、あれから4~5日経ってだいぶ花房が伸びてきた。なんと白かった花がしだいに紫色に変わってきたのだ。まちがいなく白・ピンク2本のうちのどちらかの種を拾ったはずなのに、よく見られる紫色に近くなってきた。どういうことだろうか、もしかすると、だいぶ前に載せた富有柿の話にも書いた「一代交配」というもので、元の紫色に帰ったものかもしれない。すこし残念な気もするが、しばらく様子を見ようと思っている。 (なお、下の写真はクリックすると拡大されます。)