タレガ作曲「ラ・グリマ」(涙)

 

入口の大きさを調整してやっと(雀以外の)入居者が決まり、賑やかであった巣箱
急に空き家になった巣箱

4月のブログ「入居者決まる!」に書いたシジュウカラが、2~3日前から姿を消してしまった。あれ以後、3羽くらいの雛が誕生し(餌を欲しがる鳴き声から推測)、親鳥は懸命に餌を運び続けていた。雄雌交代で虫を捕まえては巣に戻るのだが、ある日、どのくらいの間隔で運ぶのか観察していたら、なんと、30~45秒もすると口にくわえて帰ってくるのであった。迷わず決まった方角に飛んで行き、無駄なく帰巣する。その献身的なふるまいを見ていて、古い漢詩を思い出した。親が必死で子どもを育てても、子どもはいっこうに気にも留めず、大きくなったら自分の前だけを見て巣立っていく。親の悲しみなんて考えもせずに…。これは親になって初めて体験する心境だろう。そういう意味で深く心に残っていた詩である。

燕詩示劉叟 つばめのしを りゅうそうにしめす

梁上有雙燕 りょうじょうにそうえんあり

翩翩雄與雌 へんべんたり おすとめすと

銜泥両椽間 どろをふくむ りょうてんのあいだ

一巣生四兒 いっそうに しじあり

四兒日夜長 しじ にちやにちょうじ

索食聲孜孜 しょくをもとむるこえ ししたり

青蟲不易捕 あおむし とらえやすからざるも

黄口無飽期 こうこう あくるときなし

觜爪雖欲弊 しそう つかれんとほっすといえども

心力不知疲 しんりょく つかるるをしらず

須叟千來往 しゅゆに せんたび らいおうし

猶恐巣中飢 なお そうちゅうのうえをおそるるがごとし

辛勤三十日 しんきん さんじゅうにち

母痩雛漸肥 ははやせて ひなようやくこゆ

喃喃教言語 なんなんとして げんごをおしえ

一一刷毛衣 いちいち もういをぬぐう

一旦羽翼成 いったん うよくなりて

引上庭樹枝 ひきいて ていじゅのえだにのぼる

擧翅不回顧 つばさをあげ かいこせずして

随風四散飛 かぜにしたがい しさんしてとぶ

雌雄空中鳴 しゆう くうちゅうになき

聲盡呼不歸 こえつくるまで よべどもかえらず

卻入空巣裏 しりぞきて あきすのうちにいり

啁 啾終夜悲 ちょうしゅう しゅうやかなしむ

燕燕爾勿悲 つばめやつばめ なんじかなしむなかれ

爾當返自思 なんじまさにかえってみずからおもうべし

思爾爲雛日 おもえなんじ ひな たりしひ

高飛背母時 たかとびして ははにそむきしときを

當時父母念 とうじのふぼのねん

今日爾應知 こんにち なんじまさにしるべし

燕の詩を劉じいさんに示す

梁(はり)の上に二羽の燕がいました

身軽に飛んでいる雄と雌です

泥で二本のたるきの間に巣を作り

四羽の子どもが生まれました

子どもたちは昼となく夜となく成長し

えさを求める声はひっきりなしに続きます

えさの虫は捕まえるのもたいへんなのに

黄色い口は満腹になる時がありません

親は爪や嘴が破れそうなほどですが

気苦労と骨折りはたいへんなものです

たちまちのうちに往来を繰り返しますが

雛の食欲は旺盛です(巣中の飢えを恐れているようなものです

苦労すること三十日

母は痩せて 雛はしだいに太ってきました

チュンチュンと言葉を教え

一枚一枚 羽をすいてやります

ある朝 翼が生えそろったので

庭の枝の上に連れ出しました

子どもたちは翼をあげたかと思うと

振り返りもせずに風に乗り 思い思いの方角に飛び去りました

親燕は空に向かって鳴き

声を尽くして呼んでも もう帰ってきません

空っぽの巣に帰り

鳥の鳴き声が 一晩中悲しげに続きました

燕よ燕よ 悲しむことはないよ

自分のことを思い出してごらん

あなたが若かった頃を思い起こしなさい

あなたも母親に背を向けて飛び立ったでしょう

そのときの父母の悲しみを

今になってあなたも知りましたね

 

One thought on “突然の別れ”

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