日本は、長い間稲作を営んできたには瑞穂の国である。その中でも我が秋田県は米どころとして知られ、「秋田こまち」は全国的にも有名である。昔、中央研修でつくば市へ行った時に、山口県や沖縄の人が「秋田こまち」のファンで毎年知人に送ってもらい常食していると聞いたことがある。そんな農業県である秋田には、稲わら文化がいろいろとあった。今では使われなくなった「へどろ」「さんぺ」「蓑」などをはじめ、冬囲いなどに必需品である縄など多岐に渡る。稲には、特別な霊力と神が宿ると信仰され、正月の注連飾りなども稲ワラで作られる。このように、神聖な場所の結界に稲ワラを利用してきた。

そんな稲わら文化の極致といえるものが巨大稲ワラ人形・鹿島様ではなかろうか。私の住んでいる集落には川が流れていて、すぐ隣の集落ではそこを使った「鹿島流し」という行事を続けている。(今夏は写真に撮りたいと思っている)すぐ近くの大雄や大森、さらには湯沢市など県内の至る所に「鹿島様」が存在する。少し調べてみると、東日本一帯には、鹿島人形、鹿島流し、鹿島踊り、鹿島送りなどというさまざまな習俗に鹿島の名が付けられており、その多くは、小さな武者のワラ人形を棒につるしたり、舟に乗せ川に流したりなど、虫送りや七夕、雛流しと同様、人形をいけにえの依り代にした祭りの形態をとっているようだ。詳しいことは民俗学の方々に委ねたいが、山菜採りの帰りに大森町末野で見つけた鹿島様が上の写真である。実際に鹿島様を作り、信仰の対象にしている人々の素朴な願いを感じ取り、写真に収めたのである。これからも機会を見つけて他のさまざまな鹿島様を撮影したいと思っている。

 

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